ナード新時代
こんにちは漆畑です。
「野暮ったい感じの眼鏡を探しています
」
これは最近女性のお客様からよく聞く台詞です。感無量です。なぜか?野暮眼鏡は男の専売特許。男女相容れない価値観。と数年前までは思っていたのですから。専売特許?そう、カップルで来店されると喧嘩になってしまうほどに。喧嘩です。そんなダサいのイヤ。え~本気?浪人生みたい。口をそろえて彼女は言うのです。次第にお互い無口になります。私たちが口を挟むのをためらってしまうほどに。そして彼氏は「もういいよ…」。それがどうです。「野暮ったい眼鏡を探しています
」なんと美しい響き。価値観の共有。感性のリンク。野暮の大衆化。ニューナードカルチャーの到来。眼鏡新時代の幕開け。そう感じてしまうのも無理のないことでしょう。
(*湊かなえの傑作ミステリー「告白」的リズム感を真似て、みっしりした文体に挑戦してみました。)
我々昭和50年前後の世代は、高校生になるころにはツッパリブームは去り、大学生になったかと思えば取り上げられるのはルーズソックス女子高生、就職探しはバブルがはじけた後の超氷河期…と、みごとに陽のあたらない不遇の世代で、カルチャー的にも過去にしっかり土台が作られたあとの世代ですから、オリジナルの何かを生み出すことよりリミックスに長けた世代です。柔軟にいろいろ取り入れられるのが強みなのです。森ガールなんて上の世代には貧相な鼓笛隊にしか見えないかもしれません。でもすんなり受け入れられてしまうのです。
だから野暮ったい眼鏡も実にファッショナブルに取り入れている。いろんな要素を複合的に。大江千里やCCB的80年代の野暮ったさとミッドセンチュリーのレジェンド、スティーブマックイーン、オードリー・ヘップバーン、チェ・ゲバラ…そして現代では、ジョニーデップやヴィンセントギャロ、浅野忠信、オダギリ・ジョーなどカリスマ性のある俳優の面影をクロスオーバーさせてリミックスし、オリジナルの人物像を創造してしまう能力を持っているのです。(*う~女子のたとえが乏しい…)
ここに象徴的な画像があります。
〈ANNE et VALENTIN2009-2010 catalogueより〉
このスタイリングの狙いが痛いほどわかるのです。故ダイアナ妃的というか、池上遼一氏の描く80年代劇画的DC女性がかくもモダンに見えるのは、まさにこのリミックス能力に他ならないのです。眼鏡に関しては言わずもがな、メイクやヘアスタイルに現代的なアレンジがなされているのです。じつに巧妙なさじ加減で。
ナードとはWikipediaによると“内向的でパッとしない者”とか“対人関係が苦手な者”といったマイナスの意味で解説されていますが、現代におけるナードとは奥ゆかしさとか巧妙な引き算といったニュアンスで使われているように思います。そして現代のカッコよさや美しさのキモにもなっていると感じます。
*ちなみにナードファッションの発祥はMIT(マサチューセッツ工科大学)とありました。
そして、そのナード感をもっとも手っ取り早く表現できるアイテムが眼鏡なのです。
これは眼鏡が知の象徴としての側面に眼が悪い人がかけるとか、運動音痴の象徴(野比のび太とか…)、コントの定番道具(加藤茶とか…)など、ハンデの代名詞として扱われてきた悲しい過去があるからなのですが。
ところが今はどうです。注意してみると、センスのよいファッション雑誌ほどスタイリングに眼鏡を多用しています。アパレルセレクトショップの季節ごとのカタログにも必ず眼鏡がスタイリングされます。これはナードであることが今イイからなのです。森ガール代表蒼井優さんがプライベートで掛けている眼鏡もナード眼鏡の旗手Arumamikaです。ジョニーデップなんかはまさに意図的なナードルックですね。
とまあこんな感じに。
というわけでこの夏は 男 も 女 もナードにキメよう!
ビバ!マイノリティの大衆化!
(decora KOBE店長 漆畑)
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